骨転移病巣の癌細胞は、他の臓器へ転移しやすいかも

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骨転移病巣の癌細胞は、他の臓器へ転移しやすいかも

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    • #14779 返信
      Mitsuo Terada
      ゲスト

      転移巣から転移巣への癌細胞の挙動はあまり明らかにされていませんでした。
      今回、マウスモデルを使って詳細に検討されています。
      乳癌で骨転移から一気に多臓器へ転移するということは経験されることでありますが、今回、骨転移巣の癌細胞は、他の臓器へ転移を起こしやすいことが示されました。
      乳房→全身転移よりも、骨病変→全身転移の方が明らかに転移臓器およびtumor burdenが多かったようです。
      骨転移巣の癌細胞は、癌幹細胞的な表現型を有しているとともにEZH2が高発現しており、このことが原因となっているようで、これを阻害することで骨転移は縮小しませんでしたが、他の部位への転移が抑制されました。

      このマウスモデルでは、骨病変→乳房病変への病巣間のmigrationはみられましたが、その逆の乳房病変→骨病変へのmigrationはほとんどみられませんでした。
      もしかすると骨転移を持つ転移性乳癌では、骨転移が癌細胞を母艦のような働きをしているのかもしれません。

      https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)00296-8

    • #14780 返信
      okazaki yoshihisa
      ゲスト

      転移機構に関する興味深い論文でした。

      骨転移した細胞は、幹細胞様に形質転換しているのかも?

      生体内で、ガン幹細胞⇔がん細胞と表現型可塑現象が起こっているのではないでしょうか?

      今後ともよろしくお願いいたします。

    • #14818 返信
      Okazaki yoshihisa
      ゲスト
    • #14819 返信
      大須賀覚
      ゲスト

      興味深い報告をありがとうございました。いくつかのゲノムの研究で、転移巣由来転移がかなりあることは以前から示されていて、原発から出ることができたものはより転移しやすいフェノタイプ(Mesenchymal typeやStem cell type)になっていて、転移の源になりやすいと言われています。

      また、私も論文を出していますが、繰り返し放射線治療など治療ストレスを受けると、腫瘍細胞はMesenchymal typeやStem cell typeになっていく(Osuka S, J Clin Invest, 2021)というのも確認されるところです。

      この辺りの変化には、Geneticなもののみでなく、Epigeneticなもの、EMTのような分子レベルの変化が関わっていると言われていて、これは腫瘍によるのかなと感じています。この3つのものは変化に必要な時間空間的な要素が変わるので、そのどれをうまく使うかが腫瘍によって変わると思っています。Geneticな変化は入ってから、全てのクローンがそれに置き換わるのに結構時間がかかって、私が専門にするGBMでは再発ではあまり大事でなくて、最も変化が早いEMT様の変化が重要なのではと感じています。

      面白い報告をありがとうございました。

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