(背景)
ガン免疫療法では、T細胞、樹状細胞が注目されていまが、B細胞、3次リンパ組織も重要な役割をしていることを示唆する研究です。
実際、自己免疫疾患では、3次リンパ組織形成が認められる症例では治療抵抗性を示すなどの報告もあるようです。
(論文)
B cells are associated with survival and immunotherapy response in sarcoma
Nature volume 577, pages556–560(2020)Cite this article
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1906-8
(内容)
軟部組織肉腫は50種類以上の組織学的サブタイプを持つ腫瘍です。
異なる組織型をした患者の臨床経過は多彩で、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療に対する反応も千差万別です。治療反応性の多様性を解明する目的で、対象とした軟部組織肉腫患者に認めらる組織型の腫瘍608個に対し遺伝子発現プロファイル解析を行い、腫瘍免疫微小環境の構成要素にもとづき、下記の5種類のグループに分類し解析を行いました。
SIC分類(Fig1)
A: immune-low
B: immune-low
C: highly vascularized groups
D: immune-high
E: immune-high
グループEでは、T細胞、濾胞樹状細胞、なかでもB細胞を豊富に含む3次リンパ節組織が認められました(Fig2)。B細胞数は、CD8+ T 細胞などの多少に関わらず強力な予後予測因子でした。更にグループEに属する患者はICI(pembrolizumab phase 2 clinical trialにおいて)治療に良好な反応を示しました(Fig3)。
(結論)
固形腫瘍の場合、CD8+T細胞だけでなく、免疫腫瘍微小環境における3次リンパ組織形成の有無、B細胞の多少がICI治療に対する反応性に重要であることを示唆していそうです。
軟部組織肉腫、腫瘍免疫微小環境、3次リンパ組織、B細胞、免疫チェックポイント阻
(key word)
軟部組織肉腫、腫瘍免疫微小環境、3次リンパ組織、B細胞、免疫チェックポイント阻害薬
Fig1:
Fig3: