PD-1阻害薬の効果予測にPD-1+ CD8+T細胞/制御性T細胞のバランス
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PD-1阻害薬の効果予測にPD-1+ CD8+T細胞/制御性T細胞のバランス
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Mitsuo Teradaゲスト
The PD-1 expression balance between effector and regulatory T cells predicts the clinical efficacy of PD-1 blockade therapies
https://www.nature.com/articles/s41590-020-0769-3
大須賀先生の活動に賛同の意味も込めて、内容はごく簡単にではありますが、初投稿させていただきます。
2020/8月のNature Immunologyからです。
日本のNishikawa研からの報告です。
今回、腫瘍環境内のPD-1+ CD8+T細胞とPD-1+ 制御性T細胞(Treg)のバランスが抗PD-1治療の効果予測因子になることが報告されました。
これまでにPD-1+CD8+T細胞が免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子になるだろうという報告は散見されていました。
一方で、免疫チェックポイント阻害薬を投与した際に、急激に増悪してしまうHyper progressive diseaseの存在が知られています。これには、腫瘍環境内のPD-1+Tregが活性化してしまい、より抑制的な環境を強めてしまうことが原因ではないかという報告が同研究室からなされています(Kamada T et al. PNAS 2019)。
これらの相反する免疫チェックポイント阻害薬の2面性を、腫瘍環境のPD-1+CD8+T細胞 / PD-1+Tregのバランスをスコア化することで、PD−1阻害薬の効果予測ができないか?という試みです。
様々な基礎的な裏付け検証も行われていますが、結論としては、腫瘍環境のPD-1+ CD8+が多いとPD-1阻害薬はよく効き、PD-1+ Tregが多いと効きにくいというお話です。これまでの報告とも合致する納得のいく結果だと思いました。
小細胞肺癌と胃癌の臨床検体を用いて、validationを行っていますが、カプランマイヤーカーブがとても衝撃的です。
興味深いのは、末梢血ではこの手法では効果予測が難しかったということです。
癌領域ではリキッドバイオプシーが盛り上がりをみせていますが、まだまだ腫瘍環境でしか捉えることができない変化もあって、リキッドバイオプシーにも限界もあることを感じさせるデータでありました。
以上です。
Keyword: PD-1阻害薬, 腫瘍免疫, 制御性T細胞, PD-1 blockade, tumor immunity, regulatory T cell
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大須賀覚ゲスト
貴重な報告をありがとうございます!
末梢血ではダメなのですね。その結果も興味深かったです。
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okazaki yoshihisaゲスト
大変興味深いサイトの開設ありがとうございます。
市中病院勤務にて、最新版トップジャーナルの論文が読めません。
貴PD-1+ CD8+T細胞とPD-1+ 制御性T細胞(Treg)の腫瘍局所での非率がマーカーになる可能性。。
このPD-1+ 制御性T細胞(Treg)⇒CD4+T細胞から微小環境局所で分化した細胞なのでしょうか?
そうだとすると、分化を誘導する因子は何なのか?
それとも、3次リンパ節、胸腺など由来なのでしょうか??
初回投稿です。
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okazaki yoshihisaゲスト
追伸:
論文の生存曲線は衝撃的です。
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Mitsuo Teradaゲスト
ご質問ありがとうございます。
今のところ、腫瘍局所に浸潤しているTregが、胸腺由来のいわゆるnTregなのか、末梢で誘導されたiTregなのか、はたまたどちらが大事なのか、ということは議論が分かれるところで、結論はでていないと認識しています。これらを明確に区別する方法がありません。
ですので、この文献中でもそこは議論されていません。
iTregは、IL-2、TGF-β存在下で刺激が入ると誘導されます(実験的にはこれで誘導できます)。腫瘍環境でもこのような因子で誘導されることは想定されます。
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